ジュエリー生まれ変り日記

最近読みました(Vol.6)

【不定期連載 社長’s Bookレビュー】

『松本清張傑作短篇コレクション (上)(中)(下)』 松本清張・著 宮部みゆき・責任編集 (文春文庫)

平成4年4月脳内出血で倒れ、同年8月、肝臓癌のため82歳で亡くなった松本清張と言えば、本好きな人なら誰もが作品の一つや二つは知っていることと思う。

私も清張の作品は、『西郷札』『点と線』『ゼロの焦点』『顔』『日本の黒い霧』『球形の荒野』など色々と読んできた。

昭和25年、『週刊朝日』の”百万人の小説”応募で『西郷札』を発表し作家活動を始めた彼は、その時41歳で、その後の40年で実に膨大な作品群を残した。大変な長編『昭和史発掘』など話題作も多い。
そんな清張作品の中から短編だけを選んで、今最も売れている作家、宮部みゆきが編集した。

第一章(上)から第九章(下)まで、章ごとに宮部が章題をつけ、それにふさわしくまとめられている。そこに宮部の前口上が付され、彼女の書くそれは、さながら超短編のようで楽しい。
上巻最後の方には「担当者の思い出」として編集者のコメントも記されていて、編集の苦労や清張の人柄が理解出来たりする。これもまた楽しい。

第九章のタイトルは「松本清張賞受賞作家にききました」。
山本兼一—「真贋の森」と「西郷札」、岩井三四二—「火の記憶」の記憶、横山秀夫—『地方紙を買う女』もどきを書いてみる、等々、おまけのようなものも書かれていて、今や押しも押されぬ作家たちの清張観を垣間見ることが出来る。

松本清張の作品は映画にもなった『砂の器』や『鬼畜』、『張り込み』など、どの作品を観ても当然と言えば当然だが清張の時代の作品であって、ほとんどを発表されたその時に読んできたことを懐かしく思い出している。
それでもこの短編集の中では読んでいなかったものもたくさんあって、久しぶりに松本清張ワールドの時間が持てて楽しかった。

どれもこれもアナログ時代の清張の時代だからこそ生まれた作品だと思う。現在清張が生きていたら、一体どんな着眼点で、どんなものを書いてくれるのか—、そんな思いがいつまでも残った。


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