地金の「す」って?
|我々が本当に泣かされる、地金の “す” についてのお話です。
す というのは、鋳造時(型に溶けた地金を流し込む時です)、きれいに流れ切らず、細かい気泡として残ってしまった状態を言います。
ごくごく簡単に言いますと、地金の表面に細かい小さな穴がたくさん開いている状態。
これがその実例。
これは、「割と大きな穴ぼこが一つ」というパターンもあります。
どちらにしても、とても厄介。
何が怖いって、これは地金内部の問題ですので手をつける以前には分からないということです。
「新品仕上げ」でお預かりして、す にぶち当たった時ほど落胆することはありません。
なぜならお客様は、当然ピカピカの新品で返ってくることを期待しているわけで、す だらけの状態で返ってきたら「何か逆に汚くなってるぞ」と感じるかもしれません。
光沢状態での方が目立ったりもするわけで…。
実例の画像ですが、勿論このまま納品したわけではなく、もっと目立たなく直してお送りはしています。
でもそれが無理なほどに、本当にひどい す もごく稀にはあるんですね。
日本の鋳造技術は相当に高いのでそれほど心配はないのですが、海外のもの(特にアジアというわけでもなく)、そしてシルバーには結構多いのでつらいです。
(因みに白色の方のリングはティファニーです。)
そういうわけですので、「新品仕上げ」や「サイズ直し」をご依頼の時にはこの話を頭の片隅にでも置いておいて下さると大変助かります。
浅い す なら簡単に直りますし、ひどい場合でも出来るだけ努力して目立たないようにはしますので。
しかししかし、稀には限界もあるということを一つ…。
コメント
管理人さま、ブログ開設おめでとうございます。
驚きました~!金属にも“す”って入るんですね。
おもわず、茶碗蒸しやプリンを想像しちゃいました。
こういう情報を知っていると知らないでは、心構えも全く違ってくると思います。
また、ためになる情報を楽しみにしています。
光さん
コメントどうもありがとうございます。
なるほど、茶碗蒸し、プリンですか。いい得て妙ですね。確かに原理は似てるかも。
でもプリンなら食べちゃえばいいけど(笑)、私らこれでお金を頂戴するわけで、ホント “す” には悩まされます。
本来こちらのせいではないんですけど、やっぱりこちらのせいのような気になって…、ヘコミます。
と、このエントリーでは少々大仰に書きましたが、ごく軽い“す”なら、それはもう簡単に直りますからご安心のほどを。
今後もどうかお気軽にコメントして下さい。とても励みになります。
よろしくお願いいたします。
それでは、また。